ルネ・ル・ロワの教本から〜その1

2018.09.13 update

前回ちらっとご紹介した、ルネ・ル・ロワの教本。序文でクヴァンツの言葉が引用され、歴史、音響学と続きます。
こちらは音響学の章。

もう全部ご紹介したいくらいなのですが、要約すると、口腔は複雑な共鳴器であり、だからこそ絶えずその調節が必要である、ということ。そのためには、不自然な、過度な緊張があってはならないということ。そして以下の文章に続きます。

「口腔、歌口、および管との完全な調和は音の発生の最適条件を決定する。音の豊かさを保証するのは空気を吹き込む力ではなく、この完全な釣合にある。」

「口腔」と言うと、私たちはレッスンの中で「口の中を広く」という言葉をよく耳にしてきたと思います。けれど、最近、私は、広くしようとすることで起こる弊害もあることを認識しています。日常では使用しないような口の中のコンディションを無理に作ろうとすることによってかえって力んでしまう、そんな経験が私にもあります。

共鳴器だからより大きい方がよい、と言うのではなく、複雑な共鳴器だからこそ、柔軟に調整する、ということ。調和が大事ということ。とても共感します。そして、息の力ではない(正しい呼吸法と完全な息の保持が必要とは述べられています)、ということも。

以前にもどこかで書いたことがあるかもしれませんが、私は最初に基礎を習ったのがドイツ帰りの先生だったので、口腔の使い方と発音に関しては、ドイツとフランスでも随分と違いがあるなぁ、と日々感じています。何が正解かではなく、何を求めているか。私は古き良きフランスの響きが好きなので、しばらくこのルロワさんの教本を掘り下げながら私自身もヒントをもらえればと思っています^^

次回は呼吸法の章へ。そこには、

「これまで数度にわたって、喉と、口腔の適応には口の筋肉を弛緩させておくことが不可欠であると、重要性を強調してきた。しかし、このことは息が正確に維持されていなければ可能ではない。」

とあります。よろしければまたお付き合いください!