ジェフリー・ギルバートの著書からフランス式発音を考える
2019-06-13
ここで何度も書いてきたような気がしますが、私は最初に基礎を習ったのがドイツ帰りの先生だった影響か、口腔はできるだけ広く、舌は垂直に立つくらいの位置で、しっかり子音を入れる、という奏法をベースにしていました。 けれど、フランスのオールドフルートに魅せられ演奏する中で、それではしっくりいかない感覚があり、ずっと、ひっそりと研究を続けてきました。 今日はとーっても長く、マニアックになりそうですが、よろしければお付き合い下さいっ! 私が、ルネ・ル・ロワに興味を持ち、その古い教本を手に入れたことは以前にも書きました。 …
ルネ・ル・ロワの教本から〜その1
2018-09-13
前回ちらっとご紹介した、ルネ・ル・ロワの教本。序文でクヴァンツの言葉が引用され、歴史、音響学と続きます。こちらは音響学の章。 もう全部ご紹介したいくらいなのですが、要約すると、口腔は複雑な共鳴器であり、だからこそ絶えずその調節が必要である、ということ。そのためには、不自然な、過度な緊張があってはならないということ。そして以下の文章に続きます。 「口腔、歌口、および管との完全な調和は音の発生の最適条件を決定する。音の豊かさを保証するのは空気を吹き込む力ではなく、この完全な釣合にある。」 「口腔」と言うと、私たちはレッスンの中で「口の中を広く」という言葉をよく耳にしてきたと思います。けれど、最近、私は、広くしようとすることで起こる弊害もあることを認識しています。日常では使用しないような口の中のコンディションを無理に作ろうとすることによってかえって力んでしまう、そんな経験が私にもあります。 …