H・P・シュミッツとフルトヴェングラー
私がH・P・シュミッツの本を再読するきっかけになったのは、その演奏をYouTubeで聴いたことでした。 昔のドイツスタイルで時代を感じるものでもあったのですが、その「時代」について改めて考えさせられました。 私は生徒さんにも「フルートの奏法は時代や国、流派などによって様々で、正解はない。だから自分が何を大切にしたいか、そのために何を選ぶのかを考えよう!」とよくお話しします。古い時代のものに触れる時には、現代の感覚で良い悪いと評するのではなく、その時代に生きた人々がどういう環境で何を目指したかを知ることによって、自分がこれからどのように演奏したいかを考えるヒントにしてほしいと私は常々思っています。 前回の記事でご紹介した「フルート奏者への実践的アドバイス」を読んでいて、H・P・シュミッツを知るためには、当時のドイツとオーケストラ、そしてフルトヴェングラーのことを抜きには語れないのではないかと感じたので、今日は資料を元にその足跡を辿ってみたいと思います。 …
「あがる」ということ〜H・P・シュミッツの著書より〜
最近、きっかけがあってH・P・シュミッツ関連の本を読み直しています。 以前の記事でも書いたとおり、私は学生時代にH・P・シュミッツの弟子である増永弘昭先生のレッスンを何度か受講させていただいたので、その時に先生が訳された本にも興味を持ち、勉強していました。久しぶりに開いてみると当時とはまた感じ方も違って、よりたくさんのことが胸に響き、考えさせられています。 H・P・シュミッツの著書では、「演奏の原理」と「バロック音楽の装飾法」が有名ではないかと思いますが、私が特に興味を持ったのが「フルート奏者への実践的アドバイス」という本。1987年から1995年まで季刊誌「ムラマツ」に掲載されたエッセイが元になっているそうで、H・P・シュミッツ氏の人となりや、昔のドイツとベルリンフィルの様子なども手に取るように伝わってきて、とても面白いです。 …
増永弘昭先生の思い出
私は学生時代に数回、増永弘昭先生のレッスンを受講させていただきました。先生がお亡くなりになる1〜2年前のことだったと思います。大阪出身の先生は私のことを「姫路のおばちゃん」(弱冠ハタチでしたが。笑)と呼んで、気さくに、でもとても熱心に教えてくださいました。 でも、みなさんご存知の通り、私はそのあと昔のフランスの楽器や奏法を研究するようになり、せっかく先生が教えてくださったH・P・シュミッツ氏から受け継がれたドイツの伝統から離れてしまったことを申し訳なく思っていました。 そんな中、モイーズモデルのフルートを持ち、奏法を考えている時に、ふと、 …
ピアニストさんの書いた本。
エレーヌ・グリモーさん。昔ちらちらと聴いた時には、私には刺さりすぎるような肌感覚があって、好んで聴くことはあまりありませんでした。でもその印象が少し変わったのがこのアルバム。 大好きなピアニスト、アレクセイ・リュビモフのコンサートに行って聴いたシルベストロフ。グリモーさんの演奏もいいなぁ‥と、今のグリモーさんに興味を持ち始めた時に、新しい本が出版されていたのを知ったのでした。 …